インフォメーション

歩き遍路で自分探し 四国八十八ヵ所霊場巡礼ツアー (2010年3月22日 東京中日スポーツ・中日スポーツ・西日本スポーツ)

2010年一覧へ戻る



- 2010年3月22日 
東京中日スポーツ・中日スポーツ・西日本スポーツより -

お遍路 四国八十八ヵ所を巡礼すること。約1200年前に、真言宗の開祖である弘法大師(空海)が開いたとされる四国霊場を、後に高僧らが遍歴するようになった。徳島、高知、愛媛、香川の4県88ヵ所を1番札所の霊山寺(徳島・鳴門市)から88番札所の大窪寺(香川・さぬき市)まで順番に巡るのが一般的。88ある人間の煩悩が1つ1つ消えるとされ、すべて巡り「結願(けちがん)成就」となり、高野山詣でを加えて「満願成就」となる。民主党の菅直人財務相は、年金未加入問題で民主党代表を辞任した04年から巡礼。大リーグ・パイレーツの岩村明憲内野手は昨年12月から今年1月にかけて車で88ヵ所巡礼した。近年は、トレッキングブームから中高年を中心に巡礼者が増えている。

スニーカーOK
歩き続ける2日目に、10番札所・切幡寺の山門が見えてきた。寺の目前には、非情にも333段の階段が待ち受けていた。疲労で脚が重い。1段、1段と階段を上がると、額から汗がにじみ出る。「厄が落ちる」と言われながら無心で上がる。山門まで到着すると、何ともいえない達成感。一口飲んだペットボトルの水がおいしかった。
各札所での読経やひたすら歩いている時は、仕事のことは頭の中から立ち消える。お遍路に来ているのは比較的時間に余裕がある50代、60代が多い。神戸から来た主婦(58)は、「夫が還暦を迎えた記念でお遍路に参加した。巡礼しているうちに心が癒されました」。中には若い人もいて、マイカーで巡礼していた地元の男子大学生2人組は、「テレビでみて来た。心が洗われた」とうれしそうだった。
私服でお遍路しても構わないが、きちんと正装すれば気分が盛り上がる。白衣(びゃくえ)に身を包み、首から輪袈裟(わげさ)をかける。輪袈裟は、手を汚す「不浄な行為」とされるトイレや食事の時は外す。白衣のすそには大きめのポケットがり、そこに各札所で願い事を書く納札、各札所を巡った証の墨書と朱印をもらい納経帳などを入れる。
頭に日よけにも雨よけにもなる菅笠(すげがさ)をかぶり、手には弘法大師の化身である金剛杖を持つ。この杖だが、橋の下には弘法大師が眠っているとされ、橋を通過する際、橋の上でついてはならない。履物は本来、地下足袋かわらじだが、とても歩けないので歩きやすいスニーカーでOK。

BIG当たる?

各寺の本堂ではご本尊に読経後、納札箱に納札を入れる。読経の時は無心だったが「欲張り厳禁」にもかかわらず、納札「(サッカーくじの)BIGが当たりますように」と思わず煩悩まみれの願い事。悟りをひらくのにはほど遠いようだ。
道中の一部の民家には遍路している人のためにお茶やコーヒー、お菓子が置いてある。これは、「お接待」といわれるもてなしで、断るのは失礼にある。ありがたくいただき、お礼の意味を込めて自分の住所と名前を書いた納札を住民に渡すのが礼儀だ。
道中の住民とのふれあいが脚を軽くする。ほとんどの遍路は舗道なので歩きやすい。周囲は山や田んぼなど大自然に囲まれた絶景を楽しめる。
近年のお遍路人口は年間約30万人で「歩き遍路」はその1%といわれる。遍路のガイド役「四国八十八ヵ所霊場公認先達(せんだつ)」である柴谷宗淑氏の著書「遍路と巡礼の実践学」で04年から05年に遍路中の504人を対象に行ったアンケートによると、目的・動機で多かったのは、供養、自分探し、癒しの順。そのうち、歩き遍路の142人は、自分探し、供養、癒しの順だった。
柴谷氏は、「平成の哲学遍路 というべき歩き遍路が出現している。30代、40代で失業して、次の仕事を探す前に遍路を、という方もいる」と指摘。未曾有の不況下で自分を見つめ直すために、という人が増えているようだ。
四国八十八ヵ所霊場会事務所の淵川法仁氏は、「健康ブームで、ウォーキングとして楽しんで回る方も増えている」と話す。たしかに、10番札所まで歩くと総歩行距離は約24キロで200キロカロリー以上を消費する計算。道中は草もち、徳島名物の「たらいうどん」などグルメもありたっぷり楽しめた。

グルメに景色も楽しい!まずは初心者ツアーで

記者が参加したのは年間約1万4000人がツアーに参加している旅行会社「新日本ツーリスト」(高松市)と「ホテルサンシャイン徳島」(徳島市)が共同企画した初心者向けツアー。
四国八十八ヵ所のうち、徳島県内にある1番札所の霊山寺(鳴門市)から10番札所の切幡寺(阿波市)までの約24キロを2日間かけて歩く。
ツアーだから、ひとりで黙々と歩くのではなく、他のツアー参加者と一緒にトークを弾ませながら歩ける。美しい景色や人との触れ合いでの癒し、グルメなどお遍路ツアーには旅の魅力が凝縮されていた。

- 2010年3月22日 東京中日スポーツ・中日スポーツ・西日本スポーツより -

インフォメーション
2019年・2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2006年
2005年

このページの先頭へ