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へんろ笠タクシーが産経新聞に紹介されました。(産経新聞)

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- 2010年9月9日 産経新聞より -

長く景気低迷でタクシー業界が利用者の減少に直面するなか、タクシー事業が創業から半世紀を超える琴平バス(香川県琴平町)は、ユニークな取り組みでてこ入れをはかる。歴史好きの「歴女」、山歩きを楽しむ「山ガール」など、女性が先取りする趣味や娯楽に着目し、タクシーで四国霊場のお遍路を気軽に体験できる「へんろガール」教室を始めた。白衣の巡拝スタイルをイメージした「へんろ笠タクシー」を使って、先逹の資格を持つ乗務員が案内する試みで、新たな市場の掘り起こしを目指す。

「新しいことはリスクが伴うから躊躇してしまうが、やらないというリスクが本当のリスク。みんなでやろう」

楠木哲雄社長(63)は、低迷するタクシー業界の活性化に意欲的に取り組む。

その情熱から誕生したのが「へんろ笠タクシー」だ。総本山善通寺を中心に、香川県善通寺市内と隣接町の霊場数カ所を1時間から1時間半かけて巡拝する。

車体は、屋根に遍路がさの行灯、巡拝の白衣をイメージした白いボディには「同行二人」「南無大師遍照金剛」の文字が書かれている。公認先逹のドライバーは白装束姿で、乗客に参拝方法や作法を教えてくれる。遍路がさ、輪けさ、白衣、金剛杖などを無料で貸し出し、初心者でも気楽にお遍路を体験できる。

先逹資格を持つドライバーはまだ1人だけだが、楠木社長は「この企画に向けて教育した。新しいことは、新しい器でと考えた」と話す。

料金は1時間で5100円。4人グループで利用すれば1人1275円と割安だ。

同社は平成15年から運行している「うどんタクシー」で全国的に話題になった。うどん鉢に見立てた行灯を取り付けたタクシーでうどん店を巡り、映画「UDON」にも登場するほど反響は大きかった。

「不況でタクシーの需要が減り、パイを奪い合うこともあるとは思うが、大切なものは需要をつくること。移動手段としてのタクシーだけでなく「タクシーに乗りたい」という目的化することができないだろうか」
こんな発想から、うどんタクシーは生まれた。

県外からの観光客を中心に利用客は7年間で1万人を突破。平成21年6月から今年5月の1年間の利用実績は369件、1220人にのぼり、乗客の90%が20~30代の女性かカップルだった。

「われわれが学んだことは、企画いかんで若い人にもタクシーに乗ってもらえるということだった」と楠木社長は強調する。

うどんタクシーを運行するにあたっては、乗務員希望者を対象にまず、うどんの歴史や文化などに関するペーパーテストを、次に案内能力を問う実地試験を行った。最後に、うどんを打つテストを行い、このハードルをクリアしたドライバーだけが乗務できるという厳しい条件を課した。

「うどんタクシー」の成功をビジネスモデルに、第2弾として誕生した「へんろ笠タクシー」。タクシー事業の常識を覆すアイディア商法で業界の活性化に挑み続ける。

先逹運転手 矢野裕和さん

公認先達の資格を得て「へんろ笠タクシー」に乗務する矢野裕和さん(37)。楠木社長から「私が何をやりたいかを形で表してほしい」と託された。山地常務(63)も「本当にまじめ。個人的にも巡拝しており、会社が思っているイメージと一致するものがある」と期待を寄せる。

高松市内のイベント会社から転職して2年。「フレッシュな気持ちでやってもらいたいという考えからだと思う。誰もが経験できないことなので、自信を持ってやりたい」と心意気をみせる。

先逹になるためには、四国霊場八十八カ所すべてを4回以上巡拝していなければならない。もともと霊場巡りに関心があり、会社の休みなどを利用して精力的に回ったが「まだ、まだ勉強不足。自分でももっとお寺に足を運び、心身ともに高めていかなければならない」と謙遜する。
先逹の運転手としての“修業”はまだ始まったばかり。「お客様に、作法を上から“教える”ということはありえませんが、「また行きたい」という気持ちになってもらうことが大事だと思う。もっともっとお客様の気持ちをくみ取れるようになりたい」と精進する。

- 2010年9月9日 産経新聞より -

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